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なぜ下がり続ける?三菱商事の株価下落を分析

キャラ1
今日は、三菱商事の株価が
なぜ下がり続けているのかを…
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Deep Researchを使って
徹底的にリサーチしてみたから…
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今からその結果を
わかりやすく解説していくデシ!

1. 為替:円相場の動向と業績への影響

円安メリットの縮小が業績見通しに影響 — 直近1年間のドル円相場は変動が大きく、 2023年後半には1ドル=150円近い歴史的な円安水準も見られました。この円安は海外で稼ぐ三菱商事にとって追い風となり、 資源価格高騰と相まって業績を押し上げていました。しかし、2024年に入ると米金利のピークアウト観測や 日銀の金融政策転換期待から円高圧力が強まります。想定為替レートより円高が進むと、 これまで円安によって得られていた利益上振れ効果が薄れ、業績見通しには下方圧力となります。

為替感応度と市場心理 — 三菱商事は「1円の円高・円安で純利益が数十億円動く」といった 為替感応度の目安を示しています。2024年度は資源価格の下落も相まって、前年までの円安メリットが 剥落し始めていると見られます。加えて、経営陣が「足元の円高や日銀利上げの影響は大きくない」と 強気の姿勢を示しても、投資家心理としては円高進行が「業績ピークアウト」懸念につながりやすくなりました。 追い風だった為替環境が向かい風に変わったことが、株価下落要因の一つです。

2. 金利:日本・米国の金利動向が商社株に与える影響

日米金利差と株式市場の変調 — 米国は2022~2023年の急激な利上げで長期金利が高止まりし、 一方の日本はゼロ金利政策が長引いていました。その結果、日米金利差の拡大による円安・高配当株買いが 2023年まで続いていたのですが、2024年に入り日銀が緩和調整(YCC修正や追加利上げの観測)に動き出すと 「緩和トレードの終焉」が意識され、株式市場全体が調整局面へ入りました。 その余波で商社株にも大きく売りが波及し、三菱商事株も急落する局面が見られます。

商社株と金利上昇の関係 — 総合商社は高配当・低PERのいわゆるバリュー株として 低金利環境下で評価されやすい特徴がありました。しかし、金利が上昇すると債券の利回りが上がり、 相対的に高配当株の魅力が薄れるほか、上昇トレンドで買われすぎていた商社株に利益確定売りが出やすくなります。 三菱商事は利上げの直接的影響は小さいと説明していますが、投資家心理の変化による売り圧力が 株価下落につながった面が大きいといえます。

3. 決算:最新決算内容(予想との比較)と市場の反応

最高益圏だが慎重姿勢 — 三菱商事は資源高を背景に2022年度・2023年度と連続して好決算を発表し、 2024年3月期(2023年度)も純利益1兆円近くの過去最高益圏でした。しかし2024年度(2025年3月期)の 会社計画はやや保守的で、微減益となる9,500億円を据え置きました。第1四半期(4~6月)決算でも 順調な進捗率を示したものの「慎重に見極める」として通期予想の据え置きを続けたため、 投資家からは期待外れと受け止められ、株価下落のきっかけとなっています。

資源安による下方修正 — 2024年秋以降は原料炭や鉄鉱石など資源価格の下落が顕著になり、 その影響が金属資源部門に表面化しました。実際、石炭権益などで見通しを下方修正せざるを得ず、 通期予想は据え置いたまま「業績ピークアウト感」を強めてしまいました。投資家には 「強い業績でも通期目標を上方修正しない=さらなる悪材料を警戒」という心理が働きやすく、 決算発表のたびに株価の下押し要因になっています。

市場予想とのギャップ — 第3四半期(4~12月)決算でも前年を上回る水準でしたが、 会社側は依然として通期予想を据え置いています。背景には中国経済の減速や資源価格の一段安など 不透明要因が多いためと説明されていますが、投資家の一部には「過度に慎重すぎる」という失望感があり、 それが株価の重しとなりました。

4. 地合い:日本市場全体のトレンドや他の総合商社との比較

日本株市場の変調 — 2024年前半までは外国人投資家の買いなどで日経平均は バブル後高値を更新するなど好調でしたが、後半になると米国景気減速や日銀の金融政策修正が重なり 一気に調整局面に入ります。こうした地合いの悪化が景気敏感株でもある商社株を直撃し、 高値圏にあった三菱商事は特に大きく下落する形になりました。

他の総合商社との比較 — 資源価格に対するエクスポージャーの大小により、 三菱商事や三井物産など資源依存度が高い銘柄ほど株価の下落幅が大きくなりました。 非資源分野の収益比率が高い伊藤忠商事などは相対的に底堅さを見せており、 投資家が商社セクター内でもリスクを取るかどうかを選別している構図が明確です。

下値の堅さ — 一方で、三菱商事の財務基盤や高配当・低PERによる割安感もあり、 下落局面でも一定の押し目買いが入りやすい土壌はあります。自社株買いの可能性や 増配期待なども下支え要因として機能しており、暴落には至らないまま綱引きが続く状況です。

5. バフェット効果:バフェットの投資による影響とその後の反応

バフェットによる株価押上げ — ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは 2020年頃から日本の5大商社株に相次いで投資し、各社の株式を5%以上取得したことを公表しました。 さらに2023年には最大9.9%までの追加投資を示唆したため、商社株全般が大きく見直され、 三菱商事株もその後の相場上昇を牽引する存在となりました。いわゆる「バフェット効果」で バリュエーションが大きく是正された面があります。

上限到達と効果の剥落 — しかし、バフェット氏が示した出資比率の上限(約9.9%)に近づくと、 さらなる買い増し余地が少なくなり、材料出尽くし感が広がりました。これにともない 「大株主の買い支えが見込めなくなる」という安心感の喪失が投資家の利益確定売りを呼び、 2024年4月頃をピークに三菱商事株は下落基調へ転じています。バフェット効果は諸刃の剣でもあり、 大口投資家の買い余力がなくなると反動で株価にマイナスに作用しやすいという側面が見られました。

6. 株価推移(2024年2月~2025年2月17日)と主なイベント

2024年1~2月(🚀):2023年末にかけて下落していた反動や好調な決算見通しもあり、 約2,300円(2024年1月初)から3,300円台(2月末)まで25%以上上昇しました。 第3四半期決算(前年度4~12月期)の大幅増益が投資家の楽観を誘った格好です。

2024年3~4月(🔼):上昇の勢いが続き、4月末には株価が3,700円前後、 5月2日には終値ベースで3,775円の最高値を記録。バフェットの追加投資観測や期末配当・自社株買い期待も重なり、 強気相場のピークに近い時期でした。

2024年5月(📉):5月2日に2024年3月期(通期)決算を発表。純利益は過去最高水準だったものの、 2025年3月期の計画が微減益見通しで「材料出尽くし」と判断され、 連休明けから利益確定売りが増加。月末には3,300円前後まで下落し、 ここが株価ピークアウトの明確な転換点となりました。

2024年6~7月(↘️):世界景気減速懸念や資源価格の一服などが影響し、 じわじわと値を下げる展開に。日銀の金融政策修正観測なども広がり始め、 高値圏での売りがやや優勢に。7月末には3,150円ほどまで下落してきました。

2024年8月(⚠️):7月末の日銀YCC修正や米国信用格下げなど複数の悪材料が重なり、 8月初めに株式市場全体が急落。三菱商事株も2,398.5円まで一気に売られるなど ピークから約37%下落しました。直後には自律反発で3,000円台に戻す場面もありましたが、 第1四半期決算の通期据え置きに対する失望感などでボラティリティが高い状態でした。

2024年9~10月(⬇️):中国経済の減速や原料炭・鉄鉱石価格の低迷、さらに中東情勢緊迫化など 不透明要因が多発し、商社株全体が売られ気味に。三菱商事株は9月末2,950円、10月末2,835円と 緩やかに下値を探る展開に。10月末~11月初の中間決算でも通期予想が据え置きで失望売りが増加。

2024年11月(📉):11月1日の中間決算発表で資源部門の下方修正が嫌気され、 当月だけで株価は-10%を超える下落。2,500円前後まで売り込まれ、年初来安値を意識する水準に接近しました。

2024年12月(⏸️):年末にかけてようやく下げ止まり、12月は小幅反発。 米FRBの利上げ停止観測や中国の景気対策などもあり、月末は2,604円で終了。 とはいえ4月の高値からは大幅安で、下落トレンドの最中でした。

2025年1月(🔻):大きな反発もなく-4.4%の下落。1月下旬の日銀会合で マイナス金利解除が決定し、市場は再び金利上昇=円高観測を意識。 三菱商事株は2,500円を割り込み、2,489円まで下がりました。

2025年2月(~17日)(⚖️):2月6日の第3四半期決算(4~12月累計)は堅調でしたが、 通期予想は据え置きのため市場の反応は限定的。月中に一進一退の動きが続き、 2月17日時点では2,417円。1年前(2024年2月)と比べると約25%の下落という状況です。

7. まとめ

為替の追い風減退、金利環境の変化、業績ピークアウト懸念、マーケットの地合い悪化、 そしてバフェット効果の一巡が複合的に作用し、2024年2月以降の三菱商事株は下落基調が続きました。 特に資源価格という外的要因に業績が大きく左右される特性上、中国景気減速や資源安への警戒感が 株価の上値を重くしています。もっとも、現在の株価には一定の悪材料が織り込まれており、 高配当・低PERという投資妙味も残されているのが事実です。今後は資源市況や金利・為替動向が 落ち着きを見せるかどうかが、自律反発の鍵となるでしょう。