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タスキMSワラント解説

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今日はタスキの
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MSワラントの
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解説をしていくデシ!

ねえねえ、今回のタスキホールディングスの新株予約権発行(MSワラント)って、“最悪の増資”って呼ばれてるんだけど、なんでそんなに評判悪いの?

今回のは「第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権」、通称 “MS ワラント” の発行だよ。最大約 1,000 万株(既存発行済株式の約 19.4%)が発行される可能性があって、株価が上がっても下がっても、割当先の野村證券が有利に行使できる仕組みなんだ。

ざっくり言うと「行使価額が株価に合わせて修正されるから、下がってもある程度カバーできるし、上がれば利益が大きくなる」という特徴があるから、割当先のリスクが小さい増資なんだよね。

フハハ!早速 “最悪” 感あふれてきたね! 「上がっても下がっても」って、ずるいデシね!

そんなに悪いものなの? どういう仕組み?

MS ワラントの本質をざっくり言うと、

1. 新株予約権を割当先が自由に行使できる
・必要なタイミングで、1 株あたりの行使価額を払って株式を取得できる。
・株価が低迷しても行使価額も下がる(ただし下限 600 円まで)。

2. 株価の状況を見ながら行使しやすい
・「直前取引日の終値の 90%に修正」という条項があるため、下落局面でも比較的有利に行使できる。
・割当先がリスクを抑えられる分、既存株主には希薄化リスクがかかりやすい。

3. 調達のペースをコントロールできる
・会社側(タスキ)は「停止指定」期間を設けて、割当先が行使できないようにすることも可能。
・必要なタイミングで増資できる反面、だらだらと売りが続く可能性もある。

え~っと、それって普通の公募増資(PO)とかとどう違うデシ?

例えば公募増資(PO)の場合は、株式を一気に発行するから、ある時点で「希薄化率○%」って確定する。
でも MS ワラントは、行使が小分けに進む上、行使価額が株価に応じて下がっていくから、株価が下がると行使価額も下がって割当先のリスクが減る一方、既存株主の希薄化が進みやすいんだ。
さらに株価が上がったら上がったで、割当先はもっと大きな利益を得られるし、会社もより大きな額を調達できるカブよ。

フハハ!ただでさえ株価って需給で動くのに、こんな仕組みがあると割当先は有利に株を売りやすいし、“行使→売却” の連鎖で需給が悪くなりやすいわけデシね。

株価が下落しやすいっていうのはわかったけど、もう少し詳しく教えて!

次の資料はタスキが記載した株価推移を示すイメージ図だけど、一見株価が上昇するように見えるんだけど、以下の理由により、実際には株価が下落するリスクの方が圧倒的に高いんだ

・割当先は安く行使できるから、株価がちょっと上がれば行使→売却で利益になる。
・増資のタイミングがバラバラで長期化するから、常に“新株の売り圧力”がある可能性。
・下限行使価額は 600 円と設定されているけど、そこまで下がると実際には思ったより資金が集まらないリスクもある。

こうした理由で、MS ワラントは「最悪の増資」なんて呼ばれることがあるんだカブね。

まあ、既存株主からすれば “自分たちの持ち株がどんどん希薄化して価値が下がる” という印象があるデシね。

そっか。。でも会社としてはメリットもあるんだよね?

会社側のメリットを簡単に整理すると、

1. 大型資金を段階的に調達できる
・一括でなく、必要なときに行使させて資金を得られる。

2. 財務基盤の強化
・借入れ(負債)に頼らずに資金を得るから、自己資本比率が上がる。

3. 株価が上がればより多く調達できる
・行使価額に上限がないため、株価が大幅に上昇すれば想定以上の資金を得られる可能性もある。

4. 停止指定で行使をコントロール可能
・株価が下がりすぎると判断すれば、会社の意思で一時的に行使を止めることもできる。

でもまあ、実際には「停止指定をうまく使うのか?」ってのは会社次第だし、理論的にはいいけど株価への悪影響はやっぱりあるデシね。

なるほど。投資家からすると今後どう注目すればいいんだろう?

大事なのは、

1. 行使状況(どのくらい株式が増えるのか)
・会社側の「停止指定」の使い方も含めて、実際どのペースで行使が進むかチェック。

2. 株価の推移
・株価が下がれば下限 600 円を意識した動きになるし、下がり続けると調達額が想定より減る可能性がある。

3. 会社の使途・成長戦略
・集めた資金を本当に成長投資に使って、業績や企業価値を伸ばせるかどうか。

結局、エクイティ・ファイナンス(株式発行)だから、将来的に事業拡大で利益が伸びれば、株価上昇につながる可能性はあるんだ。だけど目先の希薄化リスクはどうしてもあるから、投資家はそこをしっかり見極める必要があるカブね。

ところでさ、この増資にあたって「割当予定先は借株をする」っていう話が出てるよね? これって、実際には行使前に空売りして利益を確定するための仕組みなんじゃないの?

会社の資料では「今回の調達に伴い、割当予定先は当社の株主から株を借りる予定です」とはっきり書いてあるよ。

ただ、その理由としては、
・大口の投資家が「まとまった数量の株式を特定の株価ですぐ買いたい」
・一定期間のうちに取得価格を分散させて買いたい

みたいなニーズに対応するための“円滑な株式供給”だっていうのが会社側の説明。

でも MS ワラントの場合、実際には「行使で手に入る株を受け取る前に空売りして、あとから受け取った株で返す」という動きが疑われやすいのも事実カブね。

フハハ!つまり、“行使前に売っておいて、株価が下がったら安く行使して差益を取る” ってやつね。もちろん会社は「行使で取得する株式の範囲内での売付け以外はしない」とか「故意に株価を下げるような行為はしない」って言ってるけど、投資家目線からすれば「ほんとにそう?」と疑いたくもなるデシね。

だよね…「株価が低くなるのは割当予定先にも不利だから、わざわざ下げはしないはず」と言われても、短期的に空売りで利益を出して、後から行使した株式で返済するなんてパターンは想定できちゃうし。

会社の言い分としては、
• あくまで“投資家が求める株式取得ニーズ”への対応
• 「本件に関わる空売りを目的とした借株ではない」

っていうことなんだよね。

それに本新株予約権には下限行使価額があるし、極端に下がると想定より資金が集まらなくなるから、割当先にとっても大損リスクが出てくる。だから “本気で株価を下げるメリットは薄い” というロジックではあるね。

とはいえ、“どこまで下げれば割当先に得か”って話は複雑だから、投資家には疑念が残るデシ。MS ワラントって「割当先に有利すぎる増資」として嫌われがちだし、こういう借株の話が出ると余計に「卑怯だ」って思う人が出てくるデシね。

そうそう。MS ワラントって仕組み上、そうした疑いがどうしてもつきまとう。だから投資家は「行使の進捗」「借株や空売りの状況」「会社が開示している使途・方針」をしっかりウォッチして、納得できるか見極める必要があるカブよ。

参考資料:タスキホールディングス新株予約権発行に関する補足説明資料より