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NVIDIA 2025年2月26日決算分析レポート

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NVIDIA 2025年2月26日決算分析レポート

1.NVIDIAの直近2年分(8四半期)の業績推移

会計年度 / 四半期 対応期間 売上高(億ドル) 営業利益(億ドル)
2024年1月期 Q1 2023年2月~4月 130 60
2024年1月期 Q2 2023年5月~7月 152 72
2024年1月期 Q3 2023年8月~10月 196 98
2024年1月期 Q4 2023年11月~2024年1月 220 136
2025年1月期 Q1 2024年2月~4月 260 155
2025年1月期 Q2 2024年5月~7月 315 189
2025年1月期 Q3 2024年8月~10月 350 215
2025年1月期 Q4 2024年11月~2025年1月 393 240

上記のQ4(2025年1月期第4四半期)が今回(2025年2月26日発表)の決算数値に該当します。第4四半期の売上高は393億ドルと前年同期(220億ドル)比で約78%増、営業利益も前年同期(136億ドル)比で約77%増と、過去最高水準を記録しました。通期(2025年1月期)ベースでも、売上高が1300億ドル超、営業利益が800億ドル超にのぼり、いずれも前年から大きく伸びています。

決算概要:生成AIブームがもたらす高成長

今回の決算において、NVIDIAは生成AIブームを背景に過去最高の売上高と利益を記録しました。特にデータセンター向け半導体需要が引き続き業績を牽引し、第4四半期売上高は前年同期比+78%の急成長となりました。営業利益も前年同期比+77%と大幅増益で、極めて高い水準の利益率を維持しています。

決算発表後の市場反応と株価急落の要因

決算発表自体は市場予想を上回る好決算でしたが、それにもかかわらず発表翌日にエヌビディアの株価は急落しました。2月27日(米国市場)の同社株価は前日比-8%超の大幅安となり、好調な業績に水を差す形で市場の失望売りを誘発しました。この株価急落の背景には、投資家の期待値の高さと利益確定売り、およびいくつかの懸念材料が複合的に作用したと考えられます。

期待値の極端な高さと織り込み済み感:エヌビディア株は決算発表前までにAIブームを追い風に大きく上昇しており、市場コンセンサス以上の「最高の決算」が既に織り込まれていました。実際、今回の決算は予想を上回る増収増益だったものの、一部の強気筋が期待していた「さらに上」を行くサプライズには届かず、材料出尽くし感から利益確定売りが出たとの指摘があります。言い換えれば、好決算でも驚きがなければ株価は下落し得る状況だったといえます。

利益率見通しへの警戒:売上高の伸びは驚異的でしたが、翌期(2025年2~4月期)の利益率見通しが市場予想を下回った点も警戒材料となりました。エヌビディアは2025年1~3月期の粗利益率見通しを約71%と発表しましたが、これは市場予想の72.2%を下回る水準でした。新型GPU「ブラックウェル」の生産立ち上げに伴うコスト増で短期的に利益率が低下する見込みであり、これが今後の収益性への不安要因として捉えられました。実際、発表直後の時間外取引では株価が一時上下に不安定に振れる展開となっており、投資家が利益率動向を注視している様子がうかがえます。

AI競争と需要先行きへの懸念:また、競合リスクや需要ピーク説も急落の一因です。中国の新興企業DeepSeekが2025年1月に低コストの高度AIモデルを発表したことで、生成AIのコモディティ化が警戒され始めました。エヌビディア製品への需要減速や価格競争の激化につながる可能性が意識されたのです。同時に、主要顧客であるハイパースケーラーによるデータセンター投資の熱が今後冷めていくのではないか、という見方も浮上しました。こうした懸念から、「業績はピークに近づきつつあるのではないか」という警戒感が市場で強まったとされています。実際、決算発表後の米国市場ではエヌビディアだけでなく他の半導体関連株(AMDやブロードコム、ARMなど)にも売りが波及し、関連銘柄の下落が目立ちました。これは、エヌビディアを中心にAI関連株全般への将来成長期待が一時的に後退したことを示唆しています。

地政学リスクの高まり:さらに、米中間の貿易摩擦リスクも株価の重しとなりました。トランプ米大統領(2025年就任)は2月末に全世界対象の関税引き上げ方針を示唆し、中でも中国に対して追加関税を課す可能性に言及しました。エヌビディアの製品には一部に中国製の部品も含まれるため、高関税が実施されれば同社の利益率を圧迫しかねないとの見方もあります。ちょうど決算発表直前に報じられたこの関税問題が市場心理を冷やし、半導体株の売り材料となった側面もありました。加えて、米国による対中ハイテク輸出規制の一段の強化も取り沙汰されており、こうした地政学的リスクへの懸念も投資家が慎重姿勢に転じる一因となりました。

以上のように、エヌビディア株急落の背景には「好材料は出尽くし、一方で先行き不透明要因が浮上した」という状況があったと分析できます。決算直後の株価は一時上昇する場面もありましたが最終的に下落に転じ、2月27日の米市場では終値で前日比8.5%安の約120ドルとなりました。翌28日には買い戻しも入り+3.97%反発しましたが、下落分の半分も取り戻せず、市場の警戒感が残ったままであることがうかがえます。

2月28日の日経平均急落の背景とNVIDIA決算の関連性

エヌビディア株の急落は、米国のみならず世界の株式市場に波及しました。2月28日、日本の株式市場でもハイテク株中心に売りが広がり、日経平均株価は前日比-1100円超(-2.88%)の37,155円まで急落、一時は大台の37,000円を割り込む展開となりました。この急落の背景には、エヌビディア決算を起点とするグローバルな投資家心理の変化が大きく関与しています。

最大の要因は前述のエヌビディア株急落です。米国市場でAI関連の代表格であるエヌビディア株が8%以上も下落したことで、市場全体に「AIブームに陰りか?」という警戒感が広がりました。その結果、半導体やハイテク分野の銘柄に世界的な売り圧力がかかり、日本市場でもソニー、東京エレクトロンといった半導体関連株が軒並み値を下げました。エヌビディアの好決算にもかかわらず株価が崩れたことは、AI関連株全般の過熱感調整局面を示唆するものと受け止められ、日本の投資家もハイテク株の利益確定に動いたと考えられます。

加えて、米国発のその他の悪材料も日本株急落に拍車をかけました。具体的にはトランプ大統領の関税発言と円高の進行です。トランプ大統領は2月27日(日本時間28日早朝)に、一律関税引き上げ策に言及し、3月4日からカナダ・メキシコへの25%関税適用や、中国への追加関税上乗せを示唆しました。この報道により「貿易摩擦激化⇒景気減速」の懸念が高まり、景気敏感株中心に売りが出ました。さらに日本市場特有の要因として、為替が円高方向にじりじり進行していたことも重石です。輸出企業の収益圧迫要因となる円高は日本株にネガティブなため、グローバル株安の中で一段と日本株を押し下げる形となりました。

総じて、2月28日の急落は「エヌビディア決算後のAI関連株安」というグローバル要因と、「米政権の保護貿易強硬姿勢・円高」という政策&マクロ要因が重なった結果と言えます。エヌビディア決算そのものは好内容だったにもかかわらず、それをきっかけに過熱していたAI株相場に調整圧力がかかったことが日米市場の下落を招いた構図です。もっとも、日経平均は翌29日以降に反発する動きも見せており、足元では急落局面は一時的な調整との見方も出ています。

決算内容を踏まえた今後の株価・市場の見通し

今回の決算を受け、エヌビディア株やAI関連市場の先行きについては、短期的な調整局面を経た後の動向に注目が集まっています。専門家の見解を総合すると、「AIブームがこれで終わるわけではなく、むしろ中長期的な成長は続く」という声が多い一方、直近のような急騰ペースは持続しないとの慎重な見方も見受けられます。

まずポジティブな側面として、AI需要の根強い拡大が挙げられます。エヌビディア自身も今期(2025年2~4月期)の売上高が前年比で大きく伸びるとの見通しを示しており、主要顧客であるクラウド事業者や企業が引き続き生成AI関連インフラへの投資を続けていることを示唆しています。新型GPU「ブラックウェル」の受注状況も好調とされ、年度内に利益率が再び高水準に戻る可能性も言及されています。

一方、短期的なボラティリティ(変動)には注意が必要です。今回の急落劇が示すように、エヌビディア株は期待値や市場心理によって大きく振れやすい傾向があります。決算後の同社株は下落分を十分に取り戻せず調整局面が続いており、市場では「さすがに成長ペースは鈍化するのではないか」という見方も浮上しています。しかし多くのストラテジストは、今回の下落を「過度な熱狂のスピード調整」と位置づけており、AI関連株がこれで終焉を迎えるわけではないという見解が有力です。

総合すると、エヌビディアの株価は短期的には乱高下しつつも、中長期的な成長期待は依然として強いと言えます。足元では金利動向やマクロ指標、米政権の通商政策など外部要因によって振れやすい状況ですが、エヌビディアの業績が引き続き市場予想を上回る成長を示せば、投資家心理が好転し株価は持ち直す可能性が高いでしょう。一方で、AI需要の減速などで業績見通しが失望を招く場合は、株価が大きく調整するリスクもあるため注意が必要です。

投資家にとっての注目点・リスク要因

データセンター需要の持続性:エヌビディアの売上の大半を占めるデータセンター向け事業がどこまで拡大を続けるかが最重要となります。生成AIやクラウドサービスへの設備投資需要が今後も拡大を続ける一方、主要顧客が投資ペースを落とすリスクにも留意が必要です。

競合環境と技術革新:他社による代替ソリューションの台頭もリスク要因です。特に新興企業が開発する低コスト高性能なAIモデルや、AMDやIntelなど競合によるAI半導体開発動向にも注目が集まっています。エヌビディアが技術優位を維持・拡大できるかどうかは、今後の成長を大きく左右します。

マージン動向と供給体制:利益率の推移も重要なチェックポイントです。新製品立ち上げ時にはコスト増で一時的に粗利益率が低下することが予想されますが、規模拡大で再び高水準を維持できるかがカギとなります。サプライチェーンの制約や原材料価格の変動、需要と供給のバランスにも注意が必要です。

中国リスクと規制動向:米中関係の緊張による輸出規制強化や関税引き上げが、エヌビディアの製品供給や利益率に影響するリスクも否定できません。中国市場における高性能GPU規制などがさらに強化されれば、売上機会が制限される可能性があります。

株価バリュエーションと市場心理:エヌビディアの株価収益率は高い水準にあり、成長期待を大きく織り込んでいます。成長が続く限り正当化されますが、一旦成長鈍化の兆しが出ると大幅調整の可能性もあります。市場センチメントの変動が株価に与える影響を踏まえ、慎重なリスク管理が求められます。

※エヌビディアは2025年1月期に数十億ドル規模の自社株買いを行う計画を発表しており、株主還元策が一定の下支え要因となる可能性がありますが、やはり最終的には業績の伸びが株価を左右すると見られます。

まとめ

以上の分析を踏まえると、エヌビディアは足元の調整局面を迎えながらも、高成長と高評価を併せ持つ銘柄であり続けると考えられます。生成AIの本格的な普及によるデータセンター需要の拡大が続く限り、同社の売上・利益は引き続き強力に伸びる公算が大きいでしょう。一方で、過剰な期待が株価に織り込まれやすい点や、米中対立など地政学的リスクによる不確定要素も抱えています。

投資家としては、短期的な株価の乱高下に振り回されず、四半期ごとの決算で需要動向やマージン、競合状況などのファンダメンタルズを注視していく姿勢が求められます。中長期的には、エヌビディアがAI革命を牽引するリーディング企業の一つであることに疑いはなく、調整局面を長期投資の好機と捉える考え方も十分に成り立つでしょう。一方でリスク管理を怠らず、株価バリュエーションや市場センチメントの変化には適切に備えることが大切です。

参考文献・情報源

エヌビディア決算発表資料、各種報道・ニュース、アナリストレポート等をもとに作成。 投資は自己責任でお願いします。